第8回 I TとA Iが生み出す社会とゴルフ市場の変化 その1

5月1日、元号が平成から 「令和」 に変わり、新しい時代が始まりました。 と言っても現実として、私たちの生活が1日の時間の経過で劇的に変わるわけではありません。
メディアや商魂にたけた企業が、千載一遇のチャンスと煽り立てているような気もしますが・・・。
ただ長期的な視点で未来を見ると、世界では 「第四次産業革命」 と称されるグローバルな構造変化の進行と、これと相反する自国主義の蔓延による新たな経済戦争が拡散し、日本では 「総人口の減少と少子高齢化」 の進行による、既存システムの崩壊現象(この問題については前回説明)が顕在化するといった、新たな変革の時代が始まっていることが、明らかになります。
それでは、令和の時代は平成の時代とどう変わっていくのか・・・、今回は生活者を取り巻く環境の変化と、ゴルフ市場へのその影響についてお話をしたいと思います。

■第4次産業革命 「IT」 「AI」 が支配する社会の出現
平成という時代を振り返えってみると、明治以降で初めて日本が直接戦争に関わることのなかった平和な時代であったことが、まず挙げられます。一方経済的な面でみると、日本の経済高成長がピークに達し、その後のバブル経済の崩壊やリーマンショックによる大きな混乱が短期間に発生するといった、浮き沈みの激しい時代であったと言えます。それに加えて、少子高齢化時代の到来が日本の社会構造を大きく変える予兆が、垣間見られるようになった時代でもありました。
ゴルフ市場も同様に、経済高成長期の追い風に乗り、急激にその規模を拡大したものの、バブル経済の崩壊や、経済の低成長化・団塊の世代の高齢化等の要因による市場の低迷化が進み、現在の規模はピーク時の50%以下にまで縮小しています。
こうした状況の中で、今後の経済や社会構造や国民のライフスタイルまで大幅に変えていくと予測されるのが、「IT」や「AI」 が支配する「第4次産業革命」の出現です。皆さんもこうした言葉を、様々な媒体で見聞きされていることと思いますが、その意味を簡単に説明します。
「IT」とは ☞ インフォメーション テクノロジー(Information Technology)の略であり、コンピューターやデータ通信に関連する技術の総称を表します。その進歩が、インターネットやスマホを生み出し、我々の生活環境や世界の産業構造を大きく変え始めました。
「AI」とは ☞ アーティフィシャル インテリジェンス (Artificial Intelligence) の略で人工的知能という意味を持ち、人間と同等か、それ以上の知能を人工的に創り出す機能を表します。
「IT」や「AI」の進化は、私たちの働く環境も急激に変え始めました。
こうした動向に関して英国のオックスフォード大学が、面白い研究論文を発表していますので、その内容をかいつまんで説明します。尚オックスフォード大学は、ケンブリッチ大学と並ぶ英国の名門校であり、令和天皇が若かりし頃留学された歴史と伝統のある大学です。

■オックスフォード大学の研究発表論文の骨子
≪結論:10年から20年後約47%の人の仕事がなくなる≫

英国 オックスフォード大学 キャンパス

Ⅰ.人から仕事を奪う3つの要因
1.供給過剰の拡大による要因
  → 需要と供給のバランスが悪化
2.技術革新の進行による要因
 → ITやAIの進化が単純作業的な職業を消滅させる 
3.消費者の行動変化の促進
 → 新たなライフスタイルの確立が、需要構造を変える

以上の三つの要因による就業構造の変化を検証すると、以下のような点が明らかになります。

Ⅱ.90%以上の確率で消えると予測される主な仕事のリスト
・銀行の融資担当者 ・電話オペレーター ・レジ係 ・弁護士助手(パラリーガル)
・ホテルの受付 ・時計修理屋 ・税務申告の代行者 ・簿記会計の事務員  その他

もしこのようなことが現実に起きるとしたら、大変なことになります。先進国における近い将来の失業率は、現在の何倍にもなるはずですから・・・。私たちのようなマーケティングに従事する人間が長らく信じてきた、 「科学や経済の進化は人類を幸福にする」といった金言は、単なる 「戯言」になってしまうわけです。
ところが現在の日本社会は人手不足が深刻化し、経営手法の転換を迫られている業種や企業がたくさんあります。皆さんの最も身近な例としては、コンビニエンスストアの営業時間の短縮問題が挙げられます。
こうした状況から判断すると、当面必要労働人口の絶対数が大幅に減少するというより、消滅する職業と今後も存続できる職業、そして新しく需要が生まれる職種といったように、 「既存の形態とは異なる就業構造が新たに生まれる」という見方もできると思います。ただし失われる職種に属する人たちには、新たな職業への転換とそれに対応できる能力の習得が必要となります。またこれから高校や大学で学ぶ人たちには、長期的な視点に立った方向性の模索と最適な学部の選択が、重要な課題となるはずです。
オックスフォード大学の論文とは別に、ある研究グループが、 「今後も存属出来る職業」について検証し発表しておりますので、これについてご紹介します。

■未来社会で失われる可能性が低いと予測される職業
この検証資料では、失われていく職業がある一方で、依然として存在し続ける職業もたくさんあることを明らかにしています。それは、人口知能やロボット等による代替の可能性が低い職業であり、約100種の職業を挙げています。その中の主なものを紹介すると、次のようになります。

・アートディレクター ・インテリアデザイナー ・フードコーディネーター
・ゲームクリエーター ・フラワーデザイナー ・ツアーコンダクター
・観光ガイド ・広告ディレクター ・コピーライター ・産婦人科医 ・内科医
・歯科医 ・獣医師 ・医師ソーシャルワーカー ・理学療養士 ・助産士
・ケアマネージャー ・社会福祉施設介護職員士 ・アロマセラピスト
・スポーツインストラクター ・教育カウンセラー ・工業デザイナー
・マーケティングリサーチャー ・IT関連職業 ・経営コンサルタント
・コンピュータプログラマー ・その他

■残る職業、失われる職業の分岐点となる要因
両者を比較してみますと、残る職業には次の要素が存在していることが、明らかになります。
1.「創造性(クリエティブ)」や「感性」が必要となる職業 → 人工知能ではまだ対応不可能な分野に属する職業
2.ロボットが製造可能な「もの」ではなく、人間の生き様である「こと」への対応が必要となる分野の職業 → 創造力の有無が決め手となる
3.長寿社会に対応できる、「健康創造」分野の職業 → これからの日本社会は、先進諸国では未経験である、総人口の減少と少子高齢化が同時且つ急速に進み、既存の福祉制度や医療制度が機能しない環境が顕在化してくる。これが「2040年問題」と称される大きな障害であり、健康に対する自助努力と、医療や介護に関する新たな職業が必要な時代が訪れる。
■我々の身近で始まっている変化
実はこうした変化は、我々の日常生活の中でも既に取り入れられ、定着化しています。
・様々な分野の工場で、これまで人が関わってきた作業工程に産業ロボットが導入され、無人化が進んでいる
・駅の改札口には、昔見かけた切符切りの駅員さんは姿を消し、大部分が無人化されている。電磁カードを使う人も増え、切符の必要性も低下している。さらに「ゆりかもめ」のように、運転手のいない列車も出現している
・人工知能の進化は、人間の持つ頭脳レベルを超えつつあり、チェスや将棋や碁といった知的な創造力を必要とする勝負の世界でも、コンピューターがトッププレーヤーと闘い、勝利を収めるケースが増加している

この二つの機能の誕生と進化は、ゴルファーの皆さんにもいろいろな局面で利便性や、新しいプレースタイルを生み出しています。インターネットによるゴルフ場情報の検索やプレーの予約、スイングの解析機器、シミュレーションゴルフ、そして今年から新ルールにより使用が可能になった、距離測定器等、枚挙にいとまがありません。
それではこうした構造変化は、令和の時代におけるゴルフ市場にどのような影響を与えるのであろ
うか・・・、この問題については次回に掘り下げて説明します。

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第7回 「ゴルフは健康寿命を延ばす効果がある」 その2

少子高齢化社会の急速な拡大は、日本の福祉医療政策や、家庭の生活環境に大きな影響を与えることを前回説明しました。その中でも特に問題となるのが、認知症患者の増大です。このまま適切な措置を講じることが出来なければ、2040年には20兆円近くの社会的コストがかかるといった予測も出ています。その一方で、近年認知症に関する研究も進み、新たな予防対策や新薬の開発も、活発になっています。今回はこうした取り組みに関する動向と、ゴルフの持つ認知症予防機能等についてお話しします。

■平均寿命と健康寿命
左の図表は、厚生労働省と総務省が発表した平成25年度の基本データを基に、男女別の平均寿命と健康寿命を算出し、表わしたものです。
健康寿命の定義は色々ありますが、「不自由なく日常生活をおくることのできるレベル」 とするのが一般的です。したがって平均寿命から健康寿命を引いたものが、介護が必要な期間となります。
勿論個人差はありますが平均的に見れば、男性が9年強、女性が12年以上の介護期間が必要となり、病院か家庭に委ねられることになります。また60歳の男性を例にとれば、健康余命は約11年、介護期間は9年、70歳の女性の場合は、健康余命は4年、要介護期間は約12年となります。
次に認知症の場合、直ちに命の危険が生じる可能性は少なく、また発症年齢も低年齢化する兆候がみられるため、他の疾病に比べると介護期間が長くなるといった特性もみられます。さらに、家庭での介護の比率が高くなるため、家族の時間的な制約や費用の負担は大きなものとなります。私の身の回りでも、親が認知症になったため離職された方や、それほどひどくない場合でも旅行や1日拘束されるゴルフが出来なくなったという方が、かなりいます。

■認知症対策の現状
近年認知症への対策は、次のような分野で急速に進んでいます。
1.医療分野  認知症の発症を予防する新薬、治療をする新薬の開発
2.保険制度  認知症発症者に対する経済的な負担を軽減する、新しい保険商品の開発
3.社会制度  認知症患者に対する資産保全システムの導入
4.発症予防  スポーツを活用した認知症の予防

以下4.のスポーツを活用した認知症の予防対策について、説明することにします。
最近の認知症発症メカニズムの研究により、認知機能低下の予防には、有酸素運動と認知課題を同時に行うデュアルタスク運動(運動しながら頭を使う)が、効果的であることが分かってきました。簡単に言えば、①適当な体の運動、②継続的に頭脳を使う、③自然環境に触れ合う、この三つの条件を満たすことのできるスポーツが、認知機能の低下予防に効果があるということになります。こうした観点により、ゴルフは最適なスポーツであると考えられるわけです。
ゴルフは高齢者でも可能なスポーツであり、激しい運動量を必要とせず、コースラウンドでは良いスコアを出すために常に考えながらプレーをし、四季折々の素晴らしい自然と接することによりストレスを解消できるというように、3つの条件をすべて満たすことが可能です。このようなスポーツは、他にありません。
こうした点に注目したゴルフ界の識者は、ゴルフによる認知機能低下の予防効果を研究実証するため、「ウイズ・エイジングゴルフ協議会(通称WAG)」 を設立しました。

■ウイズ・エイジングゴルフ協議会(WAG)とその活動について
WAG(高橋正孝会長)は、ゴルフ界の5団体(関東ゴルフ連盟・日本ゴルフ場支配人会連合会・日本芝草研究開発機構・日本女子プロゴルフ協会・日本プロゴルフ協会)の参加により発足し、さらに日本ゴルフ協会・日本ゴルフ用品協会・全日本ゴルフ練習場連盟といった団体の後援を受け、活動を展開しています。
WAGは、国立長寿医療研究センター、東京大学、杏林大学との共同取組みにより、埼玉県日高市にある「日高カントリークラブ」において、既に様々な実験を始めています。その結果、ゴルフによる認知機能低下の予防効果があることが、確認できました。
【実験方法】
65歳以上の男女で、習慣的に運動をしていない高齢者(ただし認知症、パーキンソン病、運動禁忌等の方を除外)106名を対象とし、ランダムに、ゴルフを開始する群(ゴルフ教室)とゴルフをしないコントロール群(健康講座教室)を半々に分けた。

日高カントリークラブにおけるコースセッション風景

WAG ゴルフ教室群コースセッション参加者の皆さん

2016年10月から翌年4月まで、日高カントリークラブにおいて、ゴルフ教室群に対し、身体的、認知的、社会的活動に焦点を当てた90分間の練習セッションを14回、120分間のコースセッションを10回、全24回のレッスンを実施(週1回)。検証期間中、指導者はゴルフ知識の学習と,自宅でできるゴルフ練習を継続するように促し、教室開催中には参加者同士の積極的なコミニュケーションを促す。
コントロール群(健康講座教室)へは、健康促進に焦点を当てた90分の講座を2回開催。

【実験結果】
研修期間終了後、ゴルフ教室群53名、コントロール群47名が事後検査を受けた。その結果、ゴルフ教室群において、「文章を覚える機能」 「覚えた後すぐ思い出す機能」 の向上が明らかになった。但し今回の実験ではまだ未解明な点も多いため、ゴルフプログラムについてはさらに発展させる必要があると関係者は認識している。

■世界における動向 「GOLF AND HEALTH」
ゴルフの健康機能については、「GOLF AND HEALTH」のタイトルのもと、世界的に研究と訴求活動が展開されています。右の図表は、英国エジンバラ大学がゴルフの医学的効用を研究しまとめた成果を発表した資料の一部です。
こうした活動は、昨年開催された 「全英オープ」 「全英女子オープン」 の開場で紹介され、英国のスポーツ医学誌でもゴルフと健康効果についての評価が発表されるといったように、大きな広まりを見せています。
このほか、ゴルフは認知症だけではなく、うつ病や心臓疾患の改善にも有効であるとの研究成果も、報告されています。こうした機能を背景とし、健康寿命という概念に加え新たに、「幸福寿命」 の拡大という発想も生まれてきました。

■健康寿命から「幸福寿命」へ
医学の進歩により、近年平均寿命は飛躍的に伸びています。しかし伸びた人生をただベットの上で過ごすだけでは、寿命を延ばす意味もありません。国における医療費の拡大や、家族に対する負担が拡大するだけであり、また当人も生の喜びを実感できるわけではありません。そこで 「不自由なく日常生活をおくることのできるレベル」 という発想から生まれたのが、健康寿命という概念です。勿論身の周りの事を自らでき、家族に負担を掛けないということは、大きな意味があります。しかしその伸びた寿命を、何か楽しいことをしながら活用出来たら、より幸せなことであると思います。
そこで今ゴルフ界が提唱しているのが、「幸福寿命」「幸福ゴルフ人生」といった提案です。これまで説明したように、ゴルフには認知症やその他多くの疾患の予防や改善機能があることが、確認されています。さらにまだ研究途上ですが、認知症は中年期からその発症要因が生まれることも、解明されつつあります。
そこで、家族3世代でゴルフを始めれば、より健康で楽しい人生をおくることができるはずであると、私は考えています。あとは、こうした家族や高齢者を受け入れることのできるゴルフ界の体制づくりと、それに対する行政の支援が必要となります。そこでゴルフ界では現在、こうした 「人生100歳時代」に貢献できるような仕組みを検討し、その実現に取組んでいます。

さあ、あなたもゴルフを楽しみながら、健康で幸せな人生をおくりましょう。家族や周りの人たちでまだゴルフをしていない人がいましたら、是非誘ってください。きっと何十年か後に感謝されることは、間違いないですよ。

*ウイズ・エイジングゴルフ協会について詳しく知りたい方は、下記のホーム頁を覗いてみてください。
Withaging-golf.com

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第6回 「ゴルフは健康寿命を延ばす効果がある」 その1

皆さんも人口構造の変化が、未来の日本社会や国民の生活環境を大幅に変えることを、ご存じだと思います。そして 「少子高齢化社会」 「総人口の減少」 といった言葉も、よく耳にされているはずです。こうした人口構造の変化はゴルフ界にも大きな影響を与えるため、現在様々な対策が検討されていますが、これまでゴルフ市場を支えてきた団塊の世代のリタイア防止対策も、重要な課題となっています。一方国にとっても 「超高齢社会」 の出現は、医療支出関連費用の際限のない増大といった、深刻な影響を与え始めています。今回は、この人口構造の変化が与える影響について説明します。

■少子高齢化の影響について
日本の人口構成を三世代(0~14歳、15~64歳、65歳以上)に分け、総人口を含めた長期的な変化を表したのが、上のグラフです。このグラフから次のような点が明らかになります。

  • 2010年をピークに、日本の総人口は減少に転じる
  • 14歳以下の人口は減少し続け、65歳以上の人口は長期的に増え続け、逆ピラミッド型構成になる
  • 総人口は減少し続け、2040年代の半ばには1億人を割る

次に 「少子高齢化と総人口の減少」 が、どのような影響を与えるかについて調べてみます。
下の図は、現在のシステムを続けた場合に必要となる社会保障費用(年金医療、介護等)を表しており、2025年に約140兆円、2040年には190兆円近くに達すると予測されています。勿論年金は積立金が、医療費や介護費も夫々税の徴収による財源があります。しかし少子高齢化の進行により、受け取る側と支える側のバランスが悪化するため財源は目減りする一方で、既存の福祉政策の継続は困難になってきました。そこで政府は高齢者重視型から全年齢型へ、社会福祉政策の転換を図っています。

次にこうした背景と動きを、もう少し身近な東京都の例で説明します。
右の表は、東京都が平成27年に発表した高齢者福祉計画の中にある、10年後の予測資料です。東京は全国で最も高齢化率の低い都市ですが、それでもこのように大きな変化への対応が、必要となっています。東京都の財政は豊かですが、日本の地方都市の多くは既に財政赤字に陥っており、こうした対応は不可能となるはずです。
さらに問題となるのが、要介護者の多くが 「認知症 」 発症者によって占められると予測されている点です。認知症患者を抱える家庭は、その介護に多くの時間と費用をとられるため、家族が健全な生活を営むことが出来なくなるといった、深刻な事態も予測されます。
いずれにしてもこうした医療関連支出の増大は国の財政を圧迫するため、政府は医療制度を従来の「自助・共助・公助」 型から 「自助型 」 に切り替える政策を打ちだしています。簡単に言えば 「自らの健康は自ら管理しなければならず、医療費の家庭負担も増大する 」 ということになります。
そこで新たに注目されているのが、スポーツの活用です。スポーツ庁は 「国民のスポーツライフ・スポーツを通じた健康増進 」 を旗印に、様々な取り組みを始めています。こうした状況の中でクローズアップされているスポーツが、ゴルフです。ゴルフは激しい運動量を必要とせず、老若男女、三世代の全てが一緒に楽しむことができ、また自然の中でプレーするためストレスの解消もできるといった、多くの特性を持っています。
それに加えて、ゴルフが 「認知症 」 の予防に効果があるということが、近年のゴルフ界と医学界の共同研究により究明され始めました。この 「認知症の予防効果の研究とその活用 」 については、次回お話しします。
いよいよ春爛漫のゴルフシーズン開幕、まず仲間を誘ってコースに出かけ、 「健康寿命」 の増進にチャレンジしましょう。あなたと家族の豊かな未来のため・・・。

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第5回 「ルールが変わる、ゴルフが楽しくなる」 その2




平成最後の年度となる年が明け、5月から新年号による時代が始まります。4月末までは 「平成最後の○○○」、そして5月からは 「新年号初めての○○○」 といったフレーズや行事が氾濫することでしょう。さらに10月には、歓迎できない消費税率10パーセントも、導入されるはずです。何れにしても今年は慌ただしい1年になりそうですね。
こうした年のゴルフの初打ち、皆さんはもう出かけられましたか。クラブ競技会等に参加されたゴルファーは、1月1日から導入された新ルールでのプレーを経験されたと思いますが、いかがでしたか。前回はゴルフルールが難解で複雑になった原因や、新ルールの導入が必要となった背景等について説明しましたが、今回はこの新ルール導入が目指す方向と、具体的な改定内容の概要を説明します。

■新ルール普及への取組み

日本ゴルフサミット会議新年会 JGAの新ルール説明講演会

皆さんは、「日本ゴルフサミット会議(以下サミット会議と称する)」という組織をご存知ですか。一般ゴルファーの方はほとんど関心がないと思いますが、ゴルフに関連する16の団体が参加して結成した組織で、十数年の歴史があります。何をする組織かと言いますと、「ゴルフ界の個々の団体が結集し、よりゴルフを楽しんでいただくための取組みを考え実行していく」 という理念を掲げ、活動しています。プロゴルファーやトーナメント、ゴルフ用品業界、ゴルフ場、練習場等、ゴルフに関連する分野の主要な団体はほとんど加盟しています。公益財団法人日本ゴルフ協会(通称JGA)もその中のひとつで、約1400のゴルフ場会員で構成され、ルールの管理と普及、ジュニアゴルファー、トップアスリートの育成等に取り組んでいますが、日本のトーナメントの最高峰である 「日本オープン」 の主催者でもあります。
今回の新規則の適用に当たり、その変更内容の理解を深めるのもJGAの重要な役割であり、昨年から全国のJGA会員ゴルフ場やメディアへの説明会を実施してきました。そして本年1月16日に開催されたサミット会議の新年会で 「ゴルフの普及を目指した新しいゴルフ規則」 と題する講演会を実施しました。このサミット会議の講演会には600人近い加盟団体の役員や経営者やメディア関係者が参加し、変更点の説明に耳を傾けました。
変更点は前回説明したように、「分かりやすく、簡単に、不要な罰をなくし、プレー時間の短縮に役に立つように」 を主眼とするものでしたが、もともとゴルフルールは非常に難解であり、旧ルールも十分に消化していない私が、そのすべてを理解することは不可能でした。それでも保守的なゴルフ界が、時代の変化に対応しようと努力する姿勢は、随所に感じることができました。
簡素化したと言っても、その内容は多岐にわたっています。そして変更点については、グリーン上の対応に関するものが多いようですが、詳しい内容はJGAが 「ゴルフ規則(1400円)」 を発刊していますので、そちらをご覧ください。さらにそれを要約した「プレーヤーズ版(600円)」 という小冊子もありますので、キャディーバックにでも入れておくと、いざというとき便利でしょう。そういうわけで、ここではゴルフをグッドライフの友とする 「エンジョイ派ゴルファー」 にとってプラスになると思われる主な変更点を、ピックアップして説明します。

(注 文中の 以下の記述は、筆者の極めて主観的な所感です)

■エンジョイ派ゴルファーに役立つ主な変更点

①距離計測器の使用

まず一番画期的と思われる変更は、距離計測器の使用が可能になったことです。但し計測できるのは2点間の距離だけであり(打つ場所からグリーンやバンカーや池等)、高低差やその他のプレーに影響する状況の計測は禁止されております。それでもセルフプレーの場合、随分役に立つと思います。

☞ 計測器の導入は、セルフプレーの課題であったプレー支援情報欠如問題の一部を解決でき、利用費用の削減効果も相まって、利用者の拡大が期待できる

②プレー時間短縮への対応

プレーヤーは通常、自分の番になってから40秒以内でストロークを行なわなければならない。また安全が確保できれば、球の位置に関係なく、準備ができたプレーヤーからプレーすることができる。球を探す時間は、現在の5分から3分に短縮する。

☞ ゴルフは時間が掛るといった利用者の意見に少しは答えることができるが、反面施設側の経営効率を上げるために活用する傾向が強まると、ゴルファーの楽しみを奪いゴルフ離れを誘発する危険性も高まる

③バンカー内における救済措置

  • 球がバンカー内にある場合、ルースインペディメント(木の葉、枝、石などの自然物)に触れても罰はなく、取り除くこともできる。
  • アンプレアブルの処置の拡大 → 現在の1罰打のほかに、2打罰で球とホールを結ぶ線上でバンカー外の後方にドロップできる(詳しくはルールブック参照)。この両措置により、バンカー内の置けるトラブルの解消と、プレー時間の短縮が可能となる

☞ バンカーでのトラブルや苦行は随分解消され、プレーの進行もスムーズになると思われる

④ドロップの方法に関するもの

JGA 「2019年規則」 の主な規則の解説資料より

ドロップは、現在の肩の高さから膝の高さに変更になる。このことにより球が大きく転がり再ドロップをするといったケースが減り、プレーの遅延を防ぐことができる。
☞ 肩の高さに比べ、膝の高さの解釈は曖昧になりがちで、あくまでプレーヤーの自己規制心に委ねられる

 

⑤ストロークに関するもの

  • ストローク中に複数回球を打った場合(偶然の2度打ち)、罰はなくそのストロークを1回と数える。
  • ストロークした球が偶然何か(自分自身、自分のキャディー、用具、共用カート等)にあたった場合、罰はない。

☞ このストロークに関する規則の変更は、不要な罰をなくすという改正趣旨が投影されていると思われる

⑥グリーンに関するもの

JGA 「2019年規則」 の主な規則の解説資料より

  • ホールに旗竿を立てたままパットをして、その球が旗竿にあたっても罰はない。したがって旗竿をたてたままパットをすることができる。
  • パッティンググリーン上の球をマークして拾い上げて、元の位置にリプレースした球が偶然動いた場合、その原因が何であったとしても罰なしに基に位置にリプレースしてプレーができる。
  • パッティンググリーン上にある球をキャディーがマークして拾い上げる場合、プレーヤーの承認は必要ない。

☞ この変更もストロークの場合と同じで、シンプルで分かりやすくという視点によるものであると推測される

⑦その他

  • 規則に基づき救済を受ける場合は、球を別の球に変えることができる。カート道路、修理地、水溜り、地面に食い込んだ球などの罰なしの救済の場合であっても、球を取り替えることができる。
  • 球を捜査中に自分の球を偶然に動かしてしまっても罰はなく、その球を元の位置にリプレースする。

【まとめ】
今回取り上げた以上の改正点の説明は、新規則のほんの一部に過ぎません。しかしプレーヤーがこれらの規則の実行にあたっての根源的な前提条件は、従来の規則とまったく変わっておりません。それはプレーの際に審判がいないこと、判断とルールの適用はプレーヤー本人に委ねられ、必要であれば自らに罰を科すゲームであるという、ゴルフ固有の前提条件です。したがって、プレーヤーは 「ゲームの全ての面で誠実で、正直でなければならない」 ということが、今回の改正ルールの中にも明記されています。この前提条件がゴルフの素晴らしい点であり、悩ましいところでもあると私は考えております。

■新規則の実施に伴う課題と問題点

既にいろいろな業界での説明会や、多くのゴルフ場で新ルールを導入した競技会も実験的に実施されていますが、それに伴い多くの課題や問題点も指摘されていますが、そのいくつかを挙げてみます。

  • 世界的な取組みである、ゴルフ人口の拡大を図るためのルール改正という観点からみると、日本における対応に関しては限界があるように思われる。現在のゴルフ界の取組みは、既存ゴルファーに対するものがほとんどで、ゴルフをしていない人達に対する効果的なアプローチが見当たらない。これは一般メディアの、ゴルフに対する無関心さの影響もあると推測される。
  • 現在ゴルフをしていない一般生活者は、旧規則を全く知らず比較ができないし、この改正によりゴルフを始める強い動機が新たに生まれるとも考えにくい。
  • プレー時間に関しても、この程度の改正では大幅な短縮は無理であり、またゴルフ場から遠い都会に住む人たちには、その往復に費やす時間の比重の方がはるかに大きい。
  • こうした状況を考えると、ゴルファーのためというよりゴルフ場側の経営効率向上のためといった受け止め方も出てくる可能性がある。
  • 旧規則に馴染んできた既存ゴルファーは、新規則への切り替えにより従来の対応がペナルティーの対象となるため、当面はストレスが高まる懸念もある。

このほかにもまだまだ多くの問題点が指摘されていますが、遅まきながら世界のゴルフ界が 「アスリートファースト」 の姿勢から、ゴルフをしない女性や一般生活者の志向を重視し、ゴルフの新たな楽しさを創造していくといった目的の実現に向けて、大きな方向転換を図っているということは間違いないと思います。今回のルール改正はその第一歩であり、今後ゴルフ界が試行錯誤を重ねながら、より多くの人が楽しむことのできるゴルフの創造に向けた取組みを、さらに強化していくことに期待しましょう。

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第4回 「ルールが変わる、ゴルフが楽しくなる」 そのⅠ




皆さんは来年1月1日より、ゴルフルールが大幅に変わることをご存知でしょうか。ここ数年、ゴルフ雑誌やスポーツ新聞等で頻繁に取り上げられており、目にされた方も多いと思います。また2020年東京オリパラを間近に控えた今、なぜ変更をするのかといった疑問を持たれる方もいるでしょう。今回はメディアの報道とは少し視点を変えて、このルール改定問題の背景や意図についてお話しします。

■ルール変更が必要となる背景
これまで3回、ゴルフの持つ本来の素晴らしさや日本のゴルフの特殊性についてお話しをしました。そして、現在日本のゴルフ人口が減少し続けていること、少子高齢化の影響が大きくなる将来はより厳しい環境になることも、説明しました。しかしゴルフ人口の伸び悩みは日本だけでなく、米国や英国でも深刻な問題となっています。サッカーに比べると競技国数や参加人口は大きな差があり、オリンピックに関しても今後正式競技として存続できるかどうか、心配になる状況です。
このような問題が生まれる背景は夫々の国により異なりますが、共通するのは「ルールの分かりにくさ」と、「楽しみを目的とする一般アマチュアゴルフに対する配慮の欠如」にありました。遅まきながらこうした原因に気付いたルールの総本山である「R&A」は、3年ほど前から世界のゴルフ組織と連携したプロジェクトチームを立ち上げ、ゴルファーや非ゴルファーに対する調査を実施し、「より多くの人にゴルフを楽しんでもらうために、どのような対応が必要か」といった課題について検討をしてきました。その結果最初に取り組んだのが、「ルールの改定」と「女性ゴルファーの開拓」という二つのテーマでした。もしゴルフビジネスがサービス業の範疇であるとすれば、こんなことをいまさら取り上げていること自体不思議な話ですが、ゴルフ界関係者にはそういった認識すらなかったのも事実です。しかしこうした原因を掌握した後の対応は非常にスピーディーで、次々と大胆な方策を打ちだしており、300年近い歴史を有するR&Aはロゴマークまで若者や女性の感性に合うものに変えるなど、改革への姿勢を明確にしています。
日本でも最近様々な組織や企業が市場調査を実施していますが、若者がゴルフに興味を示さない大きな要因として挙げた点は、「ルールが難しく面倒であること」と「ほぼ1日必要となるプレー時間」でした。
プレー時間についても、ゴルフ場が生活地から離れているという地理的な要因以外に、煩雑なルールやプレー方法等も影響を与えていることが明らかになってきました。
それではゴルフルールは何故こんなに分かりにくく、一般的なゴルファーが楽しむことができない形態になっているのでしょうか? この点について少し考えてみます。

■ゴルフルールの始まり
ゴルフがまだ遊戯の域にあった頃の競技形態は、マッチプレーが主流でした。これは二人でする競技方法ですから、当事者同士がその日の気分でルールをとり決めれば良かったわけであり、共通ルールは必要ありませんでした。それでも各クラブには申し合わせ的な規約はありましたが、それは主に「エチケットやマナー」に関するものが多かったようです。こうした点も、「ゴルフが紳士のスポーツ」と称される要因になったのでしょう。その後個々のゴルフクラブで、多く人が参加する競技会や各クラブの対抗戦が実施されるようになると、一定の共通ルールの設定が必要になってきました。さらに新しい競技形態として、ストロークプレー方式が導入され始めると、共通ルールの必要性がさらに高まってきました。
こうした背景から生まれたのが、現在の「ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ・オブ・セントアンドリュース」の前身である、「ソサエティ・オブ・セント・アンドリュース・ゴルファーズ」が、1754年に設定した「セントアンドリュースの13ヵ条」であり、これが世界最初のゴルフルールだと言われております。
その13ヵ条の条文は、次の通りです。

≪セントアンドリュースの13ヵ条≫
(第1条)
ティーはホールからワンクラブ以内にセットすること。

(第2条)
ティーは地上に設定すること。

(第3条)
プレー中のボールは交換してはいけない。

(第4条)
ボールを打つために石、骨などを取り除いてはならない。ただしフェアグリーン上で、自分の球からワンクラブ以内なら良い。

(第5条)
水、ぬかるみに入ったら任意に拾い上げ、ハザードの後ろに少なくとも6ヤード投げて、そこからプレーを続行すること。ただしボールを拾ったことで、敵に1打譲歩しなければならない。

(第6条)
ボールが接触していたら、後方のボールを打つまで、前方のボールを拾い上げなければならない。

(第7条)
ホールに入れるときはホールに向かって打つこと。自分のライン上にない敵のボールを、狙ってはならない。

(第8条)
もしボールを取り上げられたり、その他の原因で失った場合は、最後に打った地点に戻って、別のボールをドロップしてプレーすること。)この災禍で、敵に1打譲歩しなければならない。

(第9条)
ホールに入れる時、クラブなどでライン上に“しるし”をつけてはならない。

(第10条)
人、馬、犬など、いかなるものによりボールが止められても、止まったところからあるがままの状態でプレーしなければならない。

(第11条)
スウィング中いかなる理由にせよクラブが破損したら、ワンストロークとしてカウントすること。

(第12条)
ホールよりもっとも遠いボールのプレーヤーからプレーすること。

(第13条)
壕、溝、あるいは堀はハザードとみなされない。ボールを取り出してプレーし、いかなるアイアンクラブでも、ペナルティなしでプレーすること。

最初のゴルフルールは、このようなシンプルで分かり易いものでしたが、まだマッチプレーへの対応要素が強かったようです。それでも第10条に明示された、「止まったところからあるがままの状態でプレーしなければならない」という文言で分かるように、ゴルフの根幹となる基本的精神は既に織り込まれていました。この13ヵ条をたたき台として、時代背景の変化やプロ競技会増大への対応、ゴルフ用品の進化に対する規制等の必要性により追加や修正を重ね、現在のゴルフルールが出来上がったのです。

■ゴルフルールが複雑化した原因
ゴルフ発祥の地をスコットランドとする見解については異論をはさむ余地もありませんが、それは限られた地域における遊戯的な色彩の濃いものであり、今日の世界的なスポーツとしてのゴルフとは、形態も規模も随分異なるものでした。スコットランドのゴルフは、伝統的なアマチュアリズムを重視する傾向が強かったのですが、こうした形態と異なる商業主義的スポーツの流れを創ったのが米国でした。今日のプロトーナメント(オープン競技も含む)の運営システムのほとんどが、米国で完成されたと言っても過言でありません。莫大なトーナメントの賞金と運営費の調達方法、開催地域の活性化、ゴルフ人口の急激な増加、ゴルフ用品ビジネスの拡大等、全て米国を中心に進化しました。
こうした環境の中でルールも、トーナメントの運営を如何に円滑に進めるか、いかに収益を上げるかといった点を重視し、改定が進められたのです。少なくとも「一般ゴルファーが楽しむため」といった考えは、関係者の間に無かったはずです。
私は以前から、ゴルフルールも「Wスタンダード方式」を導入すべきだと主張してきました。即ちゴルフのあるべき精神は共通であるとしても、ゴルフルールや競技形態はプロとアマチュアでは別の仕組みを導入すべきだとする考えです。ただ、畑違いのマーケッターに過ぎない私の提案など、取り上げられることはありませんでした。その原因は、「ゴルフ競技は全て共通のルールのもとで」とする、伝統的な思想が存在していた点にもあると思われます。しかしゴルフ界の関係者が、参加人口や市場規模の拡大を実現し、国民的・世界的スポーツとしてのポジションンを確立したいと望むなら、従来の保守的な考え方を改めることが必要な時代になっていることを認識し、迅速に行動をしなければなりません。
車市場を例にとると、もし「F1レース」の車両基準や競技方式を唯一の仕組みとして導入したとすれば、日本固有の軽自動車など存在しないし、今日のようなモーターリゼイションの発展も実現していなかったことでしょう。スポーツの世界でも、トップアスリートと体力や目的が異なる小学生とでは、ルールや競技方式や施設形態等が異なる「Wスタンダード」的対応をしているような例は、数多く見られます。そもそも「ゴルフ競技を職業とするプロと同じルールや競技システムで、人生を豊かにするためにゴルフを楽しむ人たちを縛ることは無理な話」であり、それがゴルフ人口の世界的な伸び悩みに繋がっているということは、誰でも感じていることです。そこでルールの総本山であるR&AやUSGAの関係者は、一般アマチュアゴルファーの視点にたったルールの改定に踏み切ったわけです。まだルールの「Wスタンダード」化導入には、ほど遠い内容ですが・・・・。

■変更が目指す目的
以上のような背景から始まった今回のルールの改定の趣旨は、「分かりやすく、簡単に、不要な罰をなくし、プレーのペースに役に立つよう」であり、展開としては主に次の三つの課題の達成を目指すものです。

  1. ルールの簡素化によるプレー時間の短縮を実現する
  2. 「ゴルフルールは複雑すぎる」との声に応えることで、ゴルフ人口減少に歯止めをかける
  3. ゴルフをより身近なものにし、世界的な普及を目指す

この三つの課題達成を目指したルールの具体的な改定内容については、次回ご説明します。

1870年に撮影されたセントアンドリュースクラブハウス前でのメンバー集合写真


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第3回 「今スポーツが変わる、ゴルフが変える-3」


前回は、ゴルフが持つ本質的な機能と優れた魅力について、説明しました。それでは我が国の現状はどうでしょうか? 残念ながらそのような、魅力的な形態になっていません。バブル経済の追い風を受けたブームが去った現在、ゴルフ人口の減少と市場規模の縮小に歯止めが掛らなくなっています。
市場低迷の原因は、どこにあるのか・・・、今回はこうした点について考えてみたいと思います。

■歴史と数字からみた日本と英国、米国との比較

ゴルフ発祥の地イギリス、最大市場規模を誇るアメリカ、そして日本は、現在三大ゴルフ国と言われています。この三国におけるゴルフ特性を、夫々の簡単な歴史と市場関連数値により比較してみます。ゴルフの発祥地と創生時期の特定については様々な議論がありますが、私は単なる遊戯であったものが、「競技ルールの統一」「競技方法の確立」「施設形態の統一」の三つの課題をクリアーし、近代的スポーツとしての条件を確立した時期を始まりとするのが正しいと考えています。

1.競技ルールの統一
1754年 ロイヤル・エンシュエントクラブ設立 「基本ルールの統一」実現

2.競技方法の確立
1759年 「ストロークプレー」採用 その後の競技会隆盛の原点となる

3.施設形態の統一
1764年 St.アンドリュースが「22Hから18Hに改修」他のコースも追従

この3条件を満たしたゴルフ形態を確立したのが、18世紀半ばの英国(スコットランド)でした。それが英国をゴルフ発祥の地とする根拠になっています。またこの近代ゴルフの確立と同時期に英国で、「産業革命」が始まっています。ゴルフが進化し世界に普及するうえで、産業革命は大きな役割を果たしたのですが、この話はまたの機会にします。
次に、夫々の国において近代スポーツとしてのゴルフがスタートした時期と、ナショナルオープンが初めて開催された年次を調べてみると、以下のようになります。注:( )内の数字は夫々の国における現在のゴルフ場数と世界比を表す

1.英国 1776年
・第1回全英オープンの開催1860年(1,991コース 世界の6.3%)

2.米国 1889年
・第1回全米オープンの開催1895年(15,047コース 世界の47.8%)

3.日本 1901年
・第1回日本オープンの開催1927年(2,290コース 世界の7.3%)

以上のように近代ゴルフの歴史からみれば、日本は英国と135年の遅れがあるものの、米国とは12年程度の差しかありません。しかし戦前の日本におけるゴルフは、限られた地域と特殊な階級層のアマチュアゴルファーを中心としていたため、米国とは比較にならない規模でした。ちなみに初めて神戸ゴルフクラブが開場してから30年たった昭和の初期でも、わずか8コース程度のレベルでした。それが戦後米国型の「商業主義的ゴルフとトーナメント」が導入されると、折からの日本の高度経済成長を背景に急激に拡大したのです。この市場変化を[表―1]整理しましたが、この数字を見ていただければ、いかに日本のゴルフ市場がバブリーな拡大をしたのかが、お分かりいただけると思います。

[表-1] ゴルフ場数、年間利用者数、推定ゴルフ人口の経年変化
年次(年) 昭和31 昭和47 平成元 平成5 平成26
①ゴルフ場数(場) 73 669 1,772 2,127 2,364
②年間延利用者数
(万人)
141 2,881 8,996 9,936 8,675
③推定ゴルフ人口
(万人)
15 250 650 1,110 850
出典: ①と②はJGA、NGK発表資料 ③はJSMI発表資料による

日本は、英国や米国のような熟成型の健全成長と異なる、速成栽培的な市場成長でしたが、こうした市場が生まれた原因とその問題点について、以下説明します。

■日本のゴルフの問題点

短期間に巨大な市場を形成した(規模から見れば米国に次いで二番目)日本ですが、次のような固有の特性と多くの問題点を抱えた、かなり無理なゴルフ市場の拡大であったと言えます。

①ゴルフの普及に必要な条件に照らし合わせてみると、日本はけして良いと環境とは言えなかった。それは一般的な国民における「余暇時間・余暇費用の不足」、「余暇に対する価値観の特殊殊性」、さらに「土地環境の悪さ」が挙げられる。

②日本は国土が狭い上に平地が少ないため、住空間に近い場所でのゴルフ場建設が難しかった。そのため、遠隔地や山岳地のコースが多くなっている。それが一方で非日常的なゴルフを形成し、他方で自然環境破壊を促進するといった批判を生じる原因となった。 現在ゴルフ市場の停滞と、社会問題となっている事象の多くは、この二つの流れが発生要因となっている。
☞バブル経済の最盛期には、東京23区の土地価格を換算すると、米国が4つ購入できると言われていた。このように土地価格が非常に高い日本では、大規模な面積が必要となるゴルフ場経営は、もともと適していなかったはずである。

③日本におけるゴルフは、1901年に英国人アーサー・グルームが神戸六甲の地に建設した 「神戸ゴルフクラブ」 の発足とともに幕を開けたが、それは英国のアマチュア重視の古典的・伝統的ゴルフを基盤とする形態であった。 ところがゴルフが産業としての基盤を形成したのは、戦後の米国文化のの流入とともに導入された 「商業主義、プロゴルファーを基軸とする米国型ゴルフシステム」 であった。この性格の異なる二つのゴルフ形態を取り込んだ戦後日本のゴルフは、多くの矛盾と問題点を抱えながら市場規模を拡大していったのである。

④こうした根源的な矛盾が存在する中で、昭和40年代に入ると日本経済は高成長期を迎えた。ゴルフはビジネス活動促進の道具として重用され、一方で国民の間に浸透した 「一億総中流志向」を追い風として、ゴルフのバブル的拡大を促進した。 そこから生まれた日本固有のゴルフ形態が、「男性・アダルト・ビジネス・ステイタス」 型ゴルフである。その結果日本では、「英国型ゴルフ」と「米国型ゴルフ」と、「日本固有型ゴルフ」の三つの形態が混在するという、複雑な市場が出来上がったのである。
☞この時代「ゴルフウィドウ」という言葉がよく使われました。 猛烈サラリーマンのご主人は、日曜日もお得意先の接待でゴルフ場へ・・・、残された奥様は「さながらゴルフが生み出した未亡人」であるといった意味であり、家族も同じ思いをしていたはずです。

⑤その結果本来 「老若男女の全てが親しめる全年齢型スポーツ」 であるはずのゴルフが、実際には一部の特殊な人達に都合のよい「非日常的ゴルフ」が主流となった。 これは英国流の 「アマチュア至上主義」 でも、米国流の「誰でもいつでもできるスポーツ的ゴルフ」のいずれでもない、日本固有のゴルフ形態であった。

■日本のゴルフ市場の現在

1990年代に入り、バブル的経済が崩壊するとともに日本のゴルフ市場は急激に縮小し始め、ピーク時の半分以下になっているが、現在もその流れに歯止めが掛っていません。さらに大きな問題として、日本のゴルフ市場拡大のけん引役となってきた「団塊の世代」が定年退職し、ビジネスゴルフの必要性が無くなると、活動率が大幅に低下しました。またこの世代の男性の参加率は十数パーセントを超えていましたが、女性の参加率は2パーセントにも達していませんでした。その結果、夫の退職に伴い夫婦が一緒に楽しめる余暇・スポーツへの転向が増え、男性の大幅なゴルフリタイアが生まれ始めています。
その一方で若い人達は、日本固有の「男性・アダルト・ビジネス・ステイタス」ゴルフに馴染めず、ゴルフ人口と市場規模の縮小に歯止めが掛らなくなっているのです。
2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、ゴルフも競技種目として採用されています。その追い風が吹いているはずですが、ゴルフ人口は現在も減少し続けており、期待されている五輪効果はみえていません。

■危機感を持ったゴルフ界の新たな取組み

現在のゴルフ環境は、バブル期に比べ非常に参加しやすい状況になっています。

・ビジターのゴルフ場利用料金は、ピーク時の半分以下になっている

・非会員でもほとんどのゴルフ場の予約が可能である

・ゴルフを教えてくれるPGAのプロゴルファーも、全国で5000名以上いる

・会員権も非常に安くなっており、購入できるチャンスが大きくなっている

それでもゴルフ人口は減少し、若者の「ゴルフ無関心化」、中高年層の「ゴルフ離れ」に歯止めを掛けることができていません。
そこでゴルフ界の様々な組織がアンケート調査を実施したところ、多くの意見が寄せられました。
「ゴルフは何か敷居が高い感じがする」 「お金がかかりそう」 「ルールが難しく楽しくない」 「時間が掛りすぎる」 「コストパフォーマンスが悪い」 「親父の遊び的なイメージが強い」 「プロゴルファーのイメージが悪い」 「一緒に始める仲間がいない」 等々・・・・、非常に厳しい内容でした。

こうした状況に危機感を持ったゴルフ業界は、ようやく「新しい時代背景や、若者や女性層に愛されるゴルフとは何か」を考えるようになり、様々な根本的な改革への取り組みを始めています。このような動きは日本だけではなく世界的に見られますが、英国や米国でもゴルフ人口を拡大するため、次のような様々な改革への取組みが始まっています。

①一般ゴルファーの視点に立った分かり易いルールへの改正(来年1月1日より実施)

②女性ゴルファーの拡大に向けた取組み

③ゴルフの持つ健康拡大機能活用に向けた研究

④子供達が興味を持つゴルフイベントの開催

⑤親子三世代が一緒に楽しめるゴルフへの取組み

⑥短時間で楽しめるゴルフプレーシステムの検討

⑦ゴルフを通じた家族、仲間、職場におけるコミュニケーションの拡大

■今日本が抱える未来への課題

かつての国民と企業と国が、「三位一体」で豊かになることができた時代は終わり、日本の未来は非常に厳しくなっていくと予測されています。

・超高齢化社会による福祉医療関連費用の増大と、それを支える世代の少子化による税収の減少

・団塊の世代の全てが後期高齢者(75歳以上)になる2025年以降、国の財政は急速に悪化する

・それを回避するため、国は福祉医療関連支出費用の大幅な削減施策を実施する

・2040年以降高齢者の4人に1人が「認知症」になると予測され、家族の負担は限界になる

・その結果既存の社会福祉制度(年金、医療保険等)の破綻危機が増大する

・自らの健康管理と維持は、自ら取組まなければならない社会システムに移行

・一方で、家族や地域や会社等におけるコミュニケーションシステムが機能しなくなる

このような暗い未来を回避するため、国は高齢者がスポーツをすることにより健康寿命を延ばす取り組みを始めています。そのスポーツとして注目されているのがゴルフであり、認知症に対する予防効果他、様々な研究が進んでいます。また三世代、地域の仲間のコミュニケーションを深めるためのゴルフへの取組みも、進んでいます。こうした新しい取組みについては、次回よりご説明します。

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第2回 「今スポーツが変わる、ゴルフが変える-2」

全英オープン最多開催コース「セント・アンドルーズ オールドコース」

ゴルフは、「三世代・老若男女」の誰でもが楽しめるポーツであると言われていますが、日本の参加率は7パーセントにも達していません。あるゴルフ関連組織がアンケート調査を実施し、残りの93パーセントの人たちに、「あなたは何故ゴルフをしないのですか」といった質問をしたところ、様々な回答がありました。
「費用や時間がかかりそう」「おじさんの遊びみたい」「ルールがめんどうくさそう」「ゴルフ場が近くにない」「一緒に始める仲間がいない」「プロゴルファーがかっこう良くない」等々。
この調査の詳細については折をみて紹介しますが、やらない派に共通する不満や疑問の生まれる原因が、「ゴルフが持つ本来の機能や楽しみと遊離した形で急速に市場を拡大した日本のゴルフ形態にある」、ということが明らかになりました。

そこで今回は原点に立ちかえり、ゴルフが持つ優れた機能と特性について考えてみます。

■ゴルフが持つ本来の機能と特性の検証

ゴルフの総本山「ロイヤル・アンド・エンシエント・ゴルフクラブ」

ゴルフの持つ本質的な機能を調べてみると、他のスポーツにはない次のような多くの特性を持っていることがわかります。

  1. 個人競技であり、一人でもプレーが可能である。勿論マッチプレーの場合対戦相手がいるが、集団的な取り組みの必要性はなく、あくまで個人の能力と判断力を基盤としている。スコアを初め、ほとんどが自己申請に委ねられている点も、他のスポーツでは見られない特性である。
    ☞「おひとり様○○がブームになっています。おひとり様ゴルフもどうかな」
  2. 自己規制能力の保有を前提としてルールが組み立てられているため、審判は基本的に存在しない。競技者の夫々が異なる場所と局面でプレーするケースが多く、また競技場が広大であり同伴者もチェックすることが不可能である。したがってゴルフは人間の「尊厳と信頼」を拠り所とする、理想主義的な性格が強い。これが「紳士・淑女のスポーツ」と称されるゆえんであるが、紳士・淑女の基準が経済的豊かさのレベルではなく、精神面と人間性の深さに置かれていることは言うまでも無い。
    ☞「ゴルフは本来、一定レベルの人格を備えた者だけが参加資格を持つスポーツである」
  3. 人間が道具を使って飛ばす競技では、最大の距離を実現できるスポーツであり、夢をかえる満足感を持つ。また球技スポーツの中で、プレー用ボールを自らが選択できる唯一の競技であり、クラブも規制をクリアした多くブランドの中から、個々のプレーヤーが最適なものを自由に選択できるという、幅広い受け皿を持っている。これが歳を重ねて体力が衰えても、ゴルフを楽しむことができる大きな要因となっている。
    ☞「大谷選手の特大ホームランだって、あなたならPWか9番アイアンで超えますよね」
  4. アマチュアの場合ハンディーキャップ制度があり、技量の異なるプレーヤーが同じフィールドで、同じルールのもとに競い合うことができるという、他に例のない球技スポーツである。また対面ではなく、一緒に同じゴールを目指しながらプレーできるのも、大きな特徴である。したがってハンディーキャップ制度は、同伴競技者と楽しくプレーするための「思いやりシステム」であり、自らの技量を誇示するために存在するものではない。
    ☞「ということは、シングルハンディキャッパーは皆優しい人たちですね、きっと」
  5. 競技場は自然のフィールドであるため、他のスポーツのような一定の規格や環境条件の統一基準がない。そのため異なるコースでの成果については絶対的な価値は無く、世界記録なるものも存在しない。また同じコースでも季節により、同じ日でも時間帯により絶えずプレー環境が変わる。全英オープンの開催コースとして有名な「セント・アンドルーズ」は、一日の中に四季があると言われるくらい気象の変化が激しく、スタート時間によりプレー条件がまったく異なることがある。ゴルフは、こうした「神が与える不公平」を受け入れる、心の広さも必要となるスポーツでもある。
    ☞「ナイスショットをしたのに何でディポットに・・、これも神が与える不公平です」
  6. ゴルフは18ホールを回るのに4時間程度必要であるが、そのうち全身を使うのはショットの際だけであり、一般的には数分の時間に過ぎない。他はパターをしたり、ショットの準備をしたり、ボールを探したりするだけで、ほとんどの時間を自然の中で歩いたり(最近ではカート使用が多いが)、同伴者と会話をしたりして費やすスポーツである。そのためコミュニケーションをとりやすく、お互いの絆を深める効果も期待できる。
    ☞「ゴルフを三世代で楽しむ人たちに、家庭崩壊の危機はありません」
  7. 「あるが儘の自然のコースを舞台とし、あるが儘の状態のボールに対処し、自らを律しながら戦う」ということがゴルフ競技の原点である。この傾向はスコットランドのリンクスコースにおいて顕著であるが、ドーソン・テーラーという人が次のような言葉を残している。「大自然が設計家であり、人間と動物が施工主だった。スコットランドの海岸線は時代と共に潮の干満によって次第に形づくられ、何世紀も過ぎていく間に海が後退して行き、砂の荒地が残された。荒地は満潮のたびに海水に洗われ無数の溝ができてきた。溝は小川となり、水路となっていった云々・・・・・」
    ☞「名門コースの称号は、神からの自然条件・会員・歴史が醸成し与えられるものである」
  8. ゴルフプレーヤーに関する英国人の理想像をあらわした言葉として、セント・アンドルーズにある球聖ボビー・ジョーンズの追悼銘碑の中に次の一節がある。「その技量において比類なく、その精神において騎士であった一人のゴルファー・・・・・・」
    ☞「文武両道の能力を備えた人は、ゴルフにおいても世界共通の尊敬対象なのですね」

球聖と称された「ホビー・ジョーンズ」

以上のようにゴルフを成立の原点から検証してみると、自然と神と人間の触合いを基盤とする自己研鑽の手段であり、「人間の尊厳とジェントルマンシップ」 「ナイトの精神」 を尊重する特殊なスポーツであることが分かりましたが、その象徴的な存在として讃えられたのがボビー・ジョーンズでした。弁護士であったボビージョーンズは、「全英オープン」「全米オープン」等を制するといった卓越した技量を持ちながら、生涯アマチュアゴルファーとしてゴルフの普及に貢献しました。4大メジャー大会のひとつであるマスターズ・トーナメントを創設し、その舞台となるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブのコースの設計にも携わるなど、彼の残した功績は計り知れないものがあります。その後米国においてプロゴルフトーナメントが隆盛になり、スコア重視の傾向が強まっていきました。その結果、自然と人間の触合いや精神性を最重視する「英国型理想主義的ゴルフ」と、科学とビジネス性を重視する「米国型合理主義的ゴルフ」が並立しながら市場の拡大を実現してきましたが、さらに特殊な形態で急成長した「日本型ゴルフ」も加わり、一層複雑な様相を呈する様になりました。

様々な問題を抱えているゴルフ界ですが、近年新しい時代に合ったスポーツに変革するための取組みが世界的に始まっており、日本でもあなたのゴルフをより楽しく、より魅力的にするための多くの取り組みが検討されておりますります。こうした日本のゴルフの特性や問題点、そして新たな取組みについては、次回お話しします。

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第1回「今スポーツが変わる、ゴルフが変える-1」

■はじめまして

PGA講習会風景

桜ゴルフさんのホーム頁で、「あなたの人生をもっと豊かにする倶楽部ライフ」と題し、8月から執筆を始めることになりました日本スポーツマーケット研究所の廣瀬です。これから宜しくお付き合いください。
と言ってもゴルファーの皆さんは、あまりお聞きになったことがないでしょう・・・、日本スポーツマーケット研究所の名称や廣瀬という名前も。

私はもともと商社や流通業界の企業を中心に、マーケティングやコンサルティングの仕事を手掛けていましたが、30年ほど前からスポーツやゴルフ業界にも関わることになり、日本スポーツマーケット研究所を新たに設立しました。

それではゴルフ界で、どのような仕事をしているのか、少しご説明します。
簡単に言えば「ゴルフというスポーツを健全に普及していくために何が必要か」 についての研究です。その研究成果を政府機関やゴルフ界組織への提言や、ゴルフ関連企業のコンサルティングに活用し、ゴルフ業界の専門誌で執筆するといった活動を続けてきました。したがってゴルファーの皆さんと直接触れ合うことはありませんでしたが、皆さんがゴルフを始める際に体験されたゴルフスクールの仕組みや、現在お使いになっているゴルフギアのコンセプト開発等、様々な分野で間接的なお付き合いをしてきました。こうした説明をしますと、何か難しい仕事をしているような感じがするかもしれませんが、早い話 「皆さんにいかにゴルフを楽しんでいただける環境や仕組みを提供するか」 というテーマに、黒子的な立場で30年以上取り組んできたわけです。
この間ゴルフ発祥の地スコットランド、ゴルフ最大市場の米国を初め二十数か国の訪問し、夫々のゴルフ市場特性の研究や関係者との意見交換により文化の違いを学び、また大学におけるゴルフの運動生理学的解析の共同研究に取り組む等、様々な体験を重ねてきました。
このような体験により得た、ゴルフの素晴らしさ、夫々の国により異なるゴルフライフや倶楽部ライフの在り方、感動したゴルフとの出会のシーン等、皆さんがあまり見聞されことのたないゴルフの魅力的な側面を、この連載をお借りして紹介していきたいと思います。

■コンサルティング型経営とはなにか

大学におけるゴルフの運動生理学的解析実験

桜ゴルフさんの経営理念の中に、「ゴルファーへの奉仕」「コンサルティングビジネス」 といった言葉がありますが、これまで日本のゴルフ界の供給側に一番欠けていたのが、この二つの考えでした。即ち 「ゴルフ市場の中心となるのは需要側の皆さんであり、供給側の関係者や企業ではない」 というサービス業では当たり前の原則が、ゴルフ界の関係者の間に十分に理解されていませんでした。今問題となっている片山晋呉プロのプロアマ競技会における騒動もその悪しき事例でしょうが、このようなトラブルはいたるところで見られます。「ゴルファーへの奉仕」 という意識が供給側の関係者に浸透していれば、今回のような低レベルなもめ事は生まれないはずです。
その上で重要となるのが、桜ゴルフさんと筆者が掲げる 「コンサルティング」 という概念です。
プロゴルファーのゴルフに対するスタンスは「10人一色」であり、生活をより豊かにするために多くのお金を稼ぐことが目的ですが、一般生活者の目的は豊かな人生を享受することにあり、ゴルフはその手段のひとつにすぎません。皆さんがゴルフに求める満足感は様々で、「10人十色」であります。「健康のため」「仲間と楽しむため」「夫婦や家族の絆を強くするため」「自然と親しむため」・・・・。ゴルフとは、本来こうした様々な目的を満たすことのできる、幅の広い機能と優しさを持つ素晴らしいスポーツであります。
この「10人十色の、夫々の目的に最適なゴルフライフは何か」を考えるのが、コンサルティングの使命です。桜ゴルフさんでは、皆さんの求めるゴルフライフをお聞きし、最適なゴルフコースをお勧めするという経営理念を、創業以来50年近く続けています。これがコンサルティング型の経営であり、まさに 「ゴルファーファースト」 の経営指針であります。日本スポーツマーケット研究所も、同じ視点から多様化したライフスタイルをお持ちになる国民の皆さんに、夫々が求める最適なゴルフライフを楽しんでいただける仕組みと、「ゴルファーファースト」の視点に立ったギアの研究に、取り組んできました。

■日本のスポーツ界、ゴルフ界変革への胎動

北京体育大学での講義

現在日本のスポーツ界は、これまでにない地殻変動に見舞われ、揺れ動いています。おりしも2020年に「東京オリンピック・パラリンピック」の開催が予定され、国民のスポーツに対する関心が大いに高まっているはずの時期ですが・・・・。
オリンピック等で華々しい成果を挙げてきた女子レスリング界のパワハラ問題、国技と称される大相撲でくすぶり続ける暴力問題、今大騒動となっているアメリカンフットボール等々、枚挙にいとまがありません。ゴルフ界でも、片山晋呉プロのプロアマイベントにおける対応問題が、連日メディアによるバッシングを受けております。
こうした様々な問題は、決して偶発的に同時多発化しているわけではありません。明治以来の長きにわたり行政が続けてきたスポーツに対する考え方と仕組みが、急激に進む時代の変化に対応できなくなってきたことが、根源的な要因として挙げられますが、その象徴の一つが 「学校体育」 という名称です。
それではこの日本固有の「学校体育」と、世界共通の呼称であるスポーツとは、どこが違うのでしょうか。
世界の自由主義国を見渡しても、スポーツを学校教育の手段として導入している国は、多分日本以外見当らないでしょう。スポーツに課せられた本来の理念や目的は、文部科学省が統括する「学校体育」とは全く異なるものであるはずです。

スポーツとは如何なるものか・・・、まずその語源を簡単に説明します。
スポーツの英語のスペル「Sports」の語源は、ラテン語の 「Deportare(デポルターレ)」 にあるとされます。もともとの意味は、「あるものを別の場所に運び去る」ですが、それが転じて「憂いを持ち去る」「荷を担わない、働かない」となり、さらに古フランス語の 「Desporter(仕事や義務ではない、気晴らしをする、楽しむ)」 となり、英語の「Sports」になったとする説が一般的です。
即ち一般のアマチュアにとってスポーツとは、仕事や日常生活で蓄積するストレスを解放する手段であり、目的は楽しい人生を送ることにありました。ところがスポーツがより広まっていくと、高度なレベルの技量を持つ人達が増え、それを職業とするプロも多くの種目で誕生しました。彼らにとってのスポーツとは、生活を営むための対価を得る手段であり、楽しむことが目的ではありません。今回の片山晋呉プロのプロアマイベントにおける問題発生要因も、原点はこの辺にあるような気がします。

次に問題となるのが、日本固有の 「学校体育」 という概念と、その仕組みですが、これについても簡単に説明します。
明治維新以来わが国では「富国強兵、殖産興業」を国策として進め、そのための人材育成を目指した「義務教育制度」をいち早く取り入れてきました。こうした背景があったため、「遊び戯れる」というスポーツ本来の意味や機能は行政により容認されず、「学校における体の教育」といった視点の強い、「体育」という名称が一般的になりました。昭和初期にはこの傾向はさらに強まり、文部省(現文部科学省)の管轄により、スポーツが持つ本来の役割とは遊離した形で育まれてきたのです。
太平洋戦争終了後、アメリカ文化の流入と共に日本でもスポーツを職業とするプロが、様々な種目で誕生しました。それに伴い戦前に存在した日本の多くのシステムは変わったのですが、体育という呼称や行政主導の学校における教育の一環であるという概念は、そのまま残されました。日本体育協会、国民体育大会等の名称も、その名残りと言えるでしょう。

ゴルフコースでの運動生理学実験

ゴルフが日本に導入され約120年、日本プロゴルフ協会が誕生し、既に60年の歳月がたちました。
現在も、ゴルフを学校体育に組み込むことは難しく、若い層にゴルフが浸透しない要因となっています。ゴルフは広い敷地や特殊な指導が必要であり、日本の地理的環境では困難であるといった要因も指摘されていますが、一番大きな問題は、ゴルフの持つ自由さやスポーツ本来の機能が日本の行政の方針にそぐわないとする、文部科学省の考え方が大きな影響を与えていたような気がします。

こうした状況の中で現在、日本のスポーツ界は大きな転換期を迎えようとしています。
文部科学省内にスポーツ庁が設立され(2015年10月1日)、官僚ではない鈴木大地氏(水泳の五輪ゴールドメダリスト)が、初代長官に就任しました。
今年、日本体育協会は 「日本スポーツ協会」 に、国民体育大会も 「国民スポーツ大会」 に夫々名称を変更し、新たな取組みをすることになりました。
そしてゴルフの持つ多くの優れた機能が、今注目されております。
・ゴルフの予防医学的な効果(認知症等)
・地域、家族、夫婦、仲間の絆を深める機能
・人と人、人と自然の触合い機能
・日常生活で生まれるストレスからの解放機能
・老若男女、三世代の誰でもが同じフィールドで楽しめる機能
また危機感を持ったゴルフ界の関係者や組織の間でも「スポーツとしてのゴルフの在り方」 や、 「ゴルファーファースト」 のスタンス確立を目指した動きが、活発化してきました。とかく難解であると言われていた競技ルールも大幅に改正され(2019年より適用)、誰でもが親しめる環境も整ってきました。
ゴルフ界の多くの組織や識者は、皆さんの「しあわせと満足感」を生み出すスポーツとしてのゴルフを目指した、新たな取組みを始めています。このようなゴルフの持つ優れた機能や、ゴルフ界の取り組みについても、これから紹介させていただきます。

この連載をお読みいただいても、皆さんのゴルフの腕前が上達するわけではありませんが、ゴルフライフを少し豊かにするための、知識や楽しみ方を発見できるのではないかと思います。
ご愛読を頂きますよう、お願い致します。

以下次号

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