皆さんも人口構造の変化が、未来の日本社会や国民の生活環境を大幅に変えることを、ご存じだと思います。そして 「少子高齢化社会」 「総人口の減少」 といった言葉も、よく耳にされているはずです。こうした人口構造の変化はゴルフ界にも大きな影響を与えるため、現在様々な対策が検討されていますが、これまでゴルフ市場を支えてきた団塊の世代のリタイア防止対策も、重要な課題となっています。一方国にとっても 「超高齢社会」 の出現は、医療支出関連費用の際限のない増大といった、深刻な影響を与え始めています。今回は、この人口構造の変化が与える影響について説明します。
■少子高齢化の影響について
日本の人口構成を三世代(0~14歳、15~64歳、65歳以上)に分け、総人口を含めた長期的な変化を表したのが、上のグラフです。このグラフから次のような点が明らかになります。
- 2010年をピークに、日本の総人口は減少に転じる
- 14歳以下の人口は減少し続け、65歳以上の人口は長期的に増え続け、逆ピラミッド型構成になる
- 総人口は減少し続け、2040年代の半ばには1億人を割る
次に 「少子高齢化と総人口の減少」 が、どのような影響を与えるかについて調べてみます。
下の図は、現在のシステムを続けた場合に必要となる社会保障費用(年金医療、介護等)を表しており、2025年に約140兆円、2040年には190兆円近くに達すると予測されています。勿論年金は積立金が、医療費や介護費も夫々税の徴収による財源があります。しかし少子高齢化の進行により、受け取る側と支える側のバランスが悪化するため財源は目減りする一方で、既存の福祉政策の継続は困難になってきました。そこで政府は高齢者重視型から全年齢型へ、社会福祉政策の転換を図っています。
次にこうした背景と動きを、もう少し身近な東京都の例で説明します。
右の表は、東京都が平成27年に発表した高齢者福祉計画の中にある、10年後の予測資料です。東京は全国で最も高齢化率の低い都市ですが、それでもこのように大きな変化への対応が、必要となっています。東京都の財政は豊かですが、日本の地方都市の多くは既に財政赤字に陥っており、こうした対応は不可能となるはずです。
さらに問題となるのが、要介護者の多くが 「認知症 」 発症者によって占められると予測されている点です。認知症患者を抱える家庭は、その介護に多くの時間と費用をとられるため、家族が健全な生活を営むことが出来なくなるといった、深刻な事態も予測されます。
いずれにしてもこうした医療関連支出の増大は国の財政を圧迫するため、政府は医療制度を従来の「自助・共助・公助」 型から 「自助型 」 に切り替える政策を打ちだしています。簡単に言えば 「自らの健康は自ら管理しなければならず、医療費の家庭負担も増大する 」 ということになります。
そこで新たに注目されているのが、スポーツの活用です。スポーツ庁は 「国民のスポーツライフ・スポーツを通じた健康増進 」 を旗印に、様々な取り組みを始めています。こうした状況の中でクローズアップされているスポーツが、ゴルフです。ゴルフは激しい運動量を必要とせず、老若男女、三世代の全てが一緒に楽しむことができ、また自然の中でプレーするためストレスの解消もできるといった、多くの特性を持っています。
それに加えて、ゴルフが 「認知症 」 の予防に効果があるということが、近年のゴルフ界と医学界の共同研究により究明され始めました。この 「認知症の予防効果の研究とその活用 」 については、次回お話しします。
いよいよ春爛漫のゴルフシーズン開幕、まず仲間を誘ってコースに出かけ、 「健康寿命」 の増進にチャレンジしましょう。あなたと家族の豊かな未来のため・・・。